俳句 田畑益弘俳句の宇宙 新作

田畑益弘 落款

田畑益弘 俳句 新作

田畑益弘 俳句新作


1月

ゆふべより祇園に遊ぶ白朮酒

亡き父のいまさら大き雑煮椀

白味噌の京の雑煮のほか食はず

屠蘇酌みてねむたうなりぬねずにをる

次の間で大の字になる屠蘇の酔

初夢の中でも段(きだ)につまづきぬ

三十六峰みな名をもちて霞初む

きれいなる菓子を持ち寄り初句会

寒泳の海ぬくとしと云はれけり

悟りとはその薄目なる冬の猫

湯豆腐や闇に入りぬる東山

絵双六まこと京(みやこ)の遠かりし

くりかへす遠きしほさゐ手毬唄

手毬唄こゝのつとをで雪が降る

角瓶が好きなふたりの暖炉かな

暖炉燃ゆ少し濃い目の水割りに

すぐ終る冬の花火の逢瀬かな

真青なる寒星を身に溜めておく

寒茜マッチはおのが身を捩る

まつすぐに寒九の水の腑にとどく

懇ろにおのが肩揉む四温かな

濡縁に蜂の屍日脚伸びてをり

冬の水逆さ金閣ゆるぎなし

まなうらにかの冬茜とこしなへ

枯園やこゑ美しく禽の棲む

風花や青まさりつつ荼毘の空

化野の一期一会の寒鴉

酒過す一途に雪の降る夜よ

枯野行く枯野の石を手くさにし

山眠り石英は水晶になる

恵方へといつか一人になる二人で

しばれると京に来て云ふ東人

枯芝に坐すたつぷりと話すため

はらわたに力を溜めて枯れてゐる

死なばこのほとりに死なめ冬菫

枯柳祇園新橋はや灯る

鮟鱇のなべてわが腑に収めける

冬の蠅罰があたつて生きてをり

一切を聴き澄ましゐん大枯木

冬の夕焼やこころの火は消さじ

流れやまぬ水うつくしき今年かな

悴めるおよびの先のオリオン座

ポケットが沢山あつて冬深し

ゆりかもめ古鏡のごとき賀茂の水

曖昧のままにしておく寝酒かな

日本の風うつくしき小雪かな

寒日和象に触りにゆくとする

日向ぼこもの哀しさも身に溜まる

身に響(とよ)む寒の怒濤をためておく

透きとほる身となりたしや寒月光

三寒の紐のほどけて夜の雨 


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