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2018年7月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像7月

無人島ひとをゆるして夏旺ん

眼下夏海あをあをと魔が誘ふ

頓堀に男前なる夏の月

夏月やふわりと豆腐沈みたる

熱帯夜草木もねむる丑三か

金閣の金を見すぎし霍乱か

鱧食はなけふに始まる鱧祭

室町も二階囃子の夜風かな

また太き雨が降るなり鉾祭

あぢさゐや傘相ふれて相しらず

たましひのやをら戻りぬ昼寝覚

昼寝覚ガリレオ温度計ふわり

緑蔭や二人ときどきものを言ふ

片蔭や昭和のにほふ古本屋

無辜の民無辜のくちなは搏ちにけり

蛇這ひて毫も汚れぬ身をもてり

自転車で行けるだけ行き蛇捨つる

いちづに空青く背泳孤独なり

プール蒼く静かに世界記録生む

曝書して昭和時代を旅してをり

風入や古き写真に泣けてきて

夏痩て火の酒いよゝ美味かりし

避暑の宿ピンポンばかりしてゐたる

真向ひに如意ヶ岳据ゑ夏座敷

しまひまで線香花火よくよく見る

手花火の向う三軒ひとりつ子

遠花火あなたは別のことおもふ

けふの蝉かの日の蝉や忌を修す

らふそくの火が一つ百物語

胆試しすれちがひしは誰ならん

炎天へふらんすの水買ひにゆく

たゞ灼けて芹沢鴨の小さき墓

母の眸に少しく痩せて帰省かな

日盛りの御町内ちふしゞまかな

炎昼の未来が歪む道路鏡

ハイヒールに足踏まれたる巴里祭

地下出づや祇園囃子を浴ぶるべく

けふは未だ宵々山の嬉しさよ

宵山をぬければ洛中真くらがり

肩車され宵山の空をゆく

清正の鎧も屏風祭かな

鉾廻す男のきほひ佳かりける

光年の星またたける端居かな

斑猫や京の終なるみささぎに

頭の中を真つ白にして蝉が鳴く

理科室のスケルトンにも夏休み

避暑の宿『長野日報』など読んで

生きて死ぬそれだけのこと蝉時雨

死ぬ蝉が蝉時雨より一つ落つ

座の釜に蓋なき劫暑かな

炎昼の暗きに光る溶接面

骨相といふかほのある大暑かな

夏痩て火の酒いよゝ美味かりし

いうれいに訊ねてみたる落し物

京ことば舞妓は猛暑やりすごす

七月も後祭とぞなりにけり

避暑の宿ピンポンばかりしてゐたる

上蔟や深空は星の数殖やす

白繭の静謐の世となりにけり

情死とふ古き死に方誘蛾灯

誘蛾灯ふるさとの灯の一つなり

打水や一見さまは御ことわり

高瀬川あくまで浅し灯涼し

白日傘楼蘭城址に忘れあり

チャウシェスク倒しし弾痕灼けてゐし

猿山にひと騒ぎあり旱空

和を以つて尊ぶ蟻の国ならん

花火会の花火に倦みて闇を見る

夜の秋の星空浴に君の星

水バーに水を味はふ夜の秋


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