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2018年6月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像6月

六月の樟の香の雨降りにけり

雨降れば雨を愉しむ籠枕

現し世をいつしかはづれ螢舟

捕らへては放つ螢や思ひ川

短夜の逢瀬のための時刻表

明易のまなこのテストパタンかな

百の豚百の鼻ある溽暑かな

噴水の翼たゝみし星夜かな

東山暮れても青き麦酒かな

七曜の早くもめぐる四葩かな

鉛筆に木のかをりしてついりかな

ハーモニカつたなく鳴りて緑の夜

サントロペ水着濡らさぬ夫人ゐて

廻転扉シャネル五番の香もまはる

街娼の眸のあをあをと白夜かな

網戸よりわたしの不在わが覗く

横浜の夜景を游ぐ海月かな

新宿を海と思へばくらげかな

人類の滅びし星のゴキカブリ

人類の脳重すぎる黴雨かな

かのひとも窓辺に佇ちて梅雨の人

鑑真の聞きおはします五月闇

淡墨に暮れてうつくし梅雨の京

薄命の遊女に供ふ著莪の花

美しき思案のさ中梅雨の蝶

空梅雨か首を反らせる陶の亀

梅雨晴のイノダコーヒのテラス席

うつぶせに臥てゐる女明易し

朝焼褪せ高層街衢起動する

たれかれに吠ゆる痩せ犬日蔭街

この下闇を祇王寺と云ふべかり

法然院さまの下闇長居して

キームンの香りの向う梅雨の街

浪速は夏やおつちやんのヘボ将棋

父の日の機嫌の悪きゴリラかな

父の日の父さりげなく旅にあり

学校に来ぬ子草笛上手なり

百足死し遅れて百の足が死す

山椒魚人間嫌ひに徹しけり

御来光待つ二杯目の濃き珈琲

驟雨過ぐ箸の先なる箸休め

毘沙門の使ひの百足殺めけり

決めかぬる明日シャワーを全開す

ハチ公はとはの忠犬梅雨滂沱

よべのこと蚊遣の灰の残るのみ

ヤマトンチュと呼ばれ泡盛ふるまはれ

泡盛にたくましきかな島野菜

けさの卵に黄身二つ沖縄忌

玉虫や形見も減りし桐箪笥

まつすぐな胡瓜つまらぬ世となりし

容赦なく急ぎ去るもの蚊遣香

華燭とふ一つの別れ花氷

千人の千のまなざし花氷

業平の終の栖の苔の花

年半ば梅雨最中なる不如意かな

五月闇標本室の蝶にほふ

夜の蟻をつまみて夜へ帰しけり

故郷の先づはおはぐろとんぼかな

夜店の灯美しき飴買ひにけり

見てをればつゆたゝかはぬ闘魚かな

香水を更へたるひとをいぶかしみ

簡単服ひとは首筋より老けて

傍にゐて水着の娘はるかなり

夕立を過ごす碧眼本能寺

梅雨晴や錦に香る走りもの

小面のゑみ恐ろしき五月闇

学校に七不思議あり五月闇

母逝きて父の端居の永くなり


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