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2018年5月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像5月

三毛猫が黒猫産んで聖五月

コクリコの碑に触れてゆく夏の蝶

清水の舞台より翔つ夏の蝶

一雨の予感に揺るゝ夏のれん

日照雨(そばへ)には日傘をさして先斗町

カンバスはまだ白きまゝ夏が来る

薫風も九十九折なす鞍馬山

木の根道山の蟻にはかなはざる

渋滞のたゞなか憲法記念日よ

まつすぐに大人を見る眸こどもの日

金魚死す或る日誰かの身代りに

水更へて金魚に鳴らすモーツァルト

パルテノン神殿さして蟻の列

夜の蟻這ひて白布を哀しうす

大寺に大蟻の国ありにけり

三条も四条も見えて川床涼し

なきがらに蟻群れてゐてしづかなり

見てしまひぬ毛虫の一つ二つ百

書く事もなしと書く日記夜の蟻

美しき距離ハンカチのなほ振られ

夏祭をとこに風の立ちにけり

ハーバーに風を見てゐるサングラス

喪疲れは頬に出でゐてサングラス

蕗を煮て町家の奥の暗きかな

病床の目に蝸虫の迅さかな

とある日の仏足石に蜥蜴の尾

刑務所のほとりに佇てる白日傘

風聞の蛇がだんだん大きくなる

短夜や忘れてゆきし耳飾り

懸葵機嫌ななめの牛の啼く

飾られて葵祭の馬となる

かげろふの中へ去にゆく賀茂祭

メロン切る女将のけふの機嫌かな

いつ来ても誰かたたずむ未草

美しき独断薔薇は崩れけり

ゴリラは怒つてゐる我は氷菓舐む

鵜籠へとみづから入りて鵜の帰る

忘れゐし魚と眼の合ふ冷蔵庫

扇風機めし屋の壁に裕次郎

時にジャズたゞの騒音大西日

滝壺の恐ろしければ又覗く

滝となり又滝となり又滝と

打水や一見さまは御ことわり

水打つて創業三百五十年

水打つて抜かりなかりぬ祇園町

水打つて暮色とゝのふ祇園町

片蔭もゆかしき京の町家筋

掛香や灯りて昏き先斗町

香水や未だ源氏名より知らず

父の死後艶の失せたる竹夫人

軋みしは己れの五体籐寝椅子

掻い抱けば仄と螢のにほひせり

ほうたるの今宵をとことをんなかな

青松の白砂を借りて蟻地獄

山蟻の何より山を悉る歩み

嶮にして泉へつゞくけもの道


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