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2017年11月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像11月

11月1は淋しき数字かな

恋人の名前はふゆ子冬よ来よ

鳴く鹿に小糠雨降る宵も来ぬ

鮑入り和風バーガー文化の日

冬帝は比叡より京を窺ひて

凩の刷き残したる星屑よ

ひとゝせや冬の服より一名刺

冬の蝶供華より供華へ翔びにけり

忠興とガラシャのねむる冬紅葉

一葉の喪中欠礼冬に入る

女傘をとこが差して朝時雨

三条に大橋小橋しぐれ過ぎ

もう一人詰めれば坐れおでん酒

運命のせゐにしてゐるおでん酒

もみぢ且つ散りゐて祇王祇女の墓

のゝ宮の竹あをあをと神の留守

一対の白狐に視られ神の留守

しぐるゝやむかし揚屋の細格子

色町に抜け路地いくつ小夜時雨

祖母静江享年三十しぐれけり

しぐれては祇園の燈し華やげる

うかうかと小春日和の暮れかゝり

紙ヒコーキの宙返り小春風

マキノより冬めいて来ぬ湖西線

西陣の機織る音や日短

たこ焼屋蛸を刻みて日短

日向ぼこおなじ日向を鳩あるく

亡き父のものも一枚重ね着て

外套が臭ふ世に狎れ人に狎れ

あをあをと大白鳥の大空よ

狐火も座敷わらしもダムの底

冬霧の底ひに響む五番街

てつちりは好き大阪は嫌ひどす

中年のまた流れつくおでん酒

天井を電車の走るおでん酒

夜の底の片手袋の流転かな

死とはその脱ぎし手套のやうなもの

レンズに土星蒼かりし湯冷めかな

冬の蝿存ふるとは咎に似て

なんぴとが始めに食ひし海鼠かな

おじやにてお開きとなる嵐山

つぐみ焼昭和もとほくなりにしよ

千年の古都の川音浮寝鳥

銃声のたび青まさる狩の空

さびしらに陸(くが)を見に来る鯨かな

狼の絶滅以後の堕落かな

冬眠なき人類に鳴る目覚しよ

透明のガラスの破片寒波来る

暮れてより裏手にまはる虎落笛

本能寺址の暗闇もがり笛

北風や貝殻なべて深手負ふ

焼鳥や資本論など聞かされて

止まり木にひとり勤労感謝の日

洛中は花の盛の屏風かな

冬海に真向ふ鬼の面つけて

湯豆腐や玻璃にけぶれる嵐山

過去帳に水子がひとり霙れけり

クリスマスツリー角を曲れば裏社会

凍夜ふと街角に降る電子音

幸福の木にうすぼこり冬館

室花か造花か分かず精神科

蝶一つしまひ忘れし小春風

十一月流水のごと過ぎにけり

遠むのみ十一月のはうき雲

御香典と書く薄墨や朝しぐれ

南座を見やる阿国やゆりかもめ

ソプラノの響きあまねく冬銀河


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