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2017年10月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像10月

秋蝶の何かせはしき花背かな

菊月をひと美しく闊歩せり

鳥は翔び人は歩みて菊日和

仏壇の塵を許さず菊かをる

深々と菊の香を吸ふ訣れかな

脳のこと考ふる脳冷ゆるなり

たれかれのそびらがとほし秋の暮

猫抱きて猫につぶやく夜寒かな

秋雲やフーテンの寅永遠なり

おもひだす女の体温火恋し

ひとづまと訪ぬる嵯峨の薄紅葉

祇王寺の滝口寺の薄もみぢ

百獣の王の瞑想秋深し

ふりむけばすでにたそかれ柳散る

秋燈や自問自答の夜も更けぬ

宵闇の窓辺にをれば二胡噎ぶ

のゝ宮に恋の絵馬殖ゆ竹の春

乗換へてまだ蹤いて来る草虱

二階には二階の風や雁の声

愛憎のあはひを揺れて曼珠沙華

全身をしづかに虫を聴いてゐる

身のうちの鬼を宥むる温め酒

指にまた包帯をして夜学生

時計とふ非情の機械夜業人

柳散るぎをん新橋巽橋

古民家の秋の昼寝によき柱

キヲスクに買ふ握り飯野菊晴

城址に佇てば聞こゆる秋のこゑ

かげぼふしより歩き出す秋の暮

つれづれの手のひら白き秋思かな

爽やかに何も持たざる手がふたつ

日の本の色となりたる熟柿かな

霧の夜の抱き寄せやすき肩なりし

再会を誓ふシスコの夜霧かな

一塵の如く吹かれて天高し

露の夜の星にも生死ある話

霧の夜の掌の中の手の繊かりし

何もたらすや霧のなか霧うごき

古池も完全な青十月よ

髪切ればこころも変る鵙日和

傷みたる木馬もまはる秋夕焼

なんとなくイエスに似たる案山子かな

鉛筆の芯をするどく鵙日和

キネマ出て釣瓶落しにまぎれたる

釣瓶落し宇治の早瀬に見了んぬ

神妙に猫のはんべる障子貼り

末枯や結びたる実は朱を尽くし

黄落の水の迅さとなりにけり

デッサンの線走らせて黄落季

鬼の子の鬼ともならず揺れてをり

鈴虫や寝物語のとぎれがち

柿干して御歳百になりたまふ

初鴨や洛北の水青まさる

松手入せし香あふれて妙心寺

秋深き音をあつめて地獄耳

真顔とは寂しきかほよ秋の水

后陵秋のてふてふ頻り舞ひ

色鳥や飽かず眺むる洛外図

化野やきのふのけふを秋時雨

玲瓏と霜降の空ありにけり

ゆく秋を淋しきをんな太りけり

明朝体うるはし灯火親しめり

酒あたゝむ朱鷺の滅びし話して

天体となれずに廻る木の実独楽

風立てば風に身構ふ蟷螂かな

秋惜むみたらし茶屋の外床机

惜秋や骨董街をたもとほり


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