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2017年7月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像7月

無人島ひとをゆるして夏旺ん

眼下夏海あをあをと魔が誘ふ

頓堀に男前なる夏の月

浴衣着てむかしは男前なりし

夏月やふわりと豆腐沈みたる

母逝きて父の端居の永くなり

熱帯夜草木もねむる丑三か

金閣の金を見すぎし霍乱か

鱧食はなけふに始まる鱧祭

室町も二階囃子の夜風かな

また太き雨が降るなり鉾祭

炎天へふらんすの水買ひにゆく

たゞ灼けて芹沢鴨の小さき墓

緑蔭や二人ときどきものを言ふ

ゆびさきに覚えなき傷朝の虹

無辜の民無辜のくちなは搏ちにけり

蛇這ひて毫も汚れぬ身をもてり

自転車で行けるだけ行き蛇捨つる

曝書して昭和時代を旅してをり

風入や古き写真に泣けてきて

夏痩て火の酒いよゝ美味かりし

避暑の宿ピンポンばかりしてゐたる

しまひまで線香花火よくよく見る

手花火の向う三軒ひとりつ子

遠花火あなたは別のことおもふ

たましひのやをら戻りぬ昼寝覚

茂るまま茂りて過疎化高齢化

けふの蝉かの日の蝉や忌を修す

腕時計からの解放ハンモック

母の眸に少しく痩せて帰省かな

生きて死ぬそれだけのこと蝉時雨

京ことば舞妓は猛暑やりすごす

日盛りの御町内ちふしゞまかな

炎昼の未来が歪む道路鏡

座の釜に蓋なき劫暑かな

骸骨に袋かぶせて夏休み

追ふものは追はるゝものや走馬燈

ひとりごと言ひて独りの冷素麺

あぢさゐや傘相ふれて相しらず

ハイヒールに足踏まれたる巴里祭

地下出づや祇園囃子を浴ぶるべく

けふは未だ宵々山の嬉しさよ

宵山をぬければ洛中真くらがり

肩車され宵山の空をゆく

清正の鎧も屏風祭かな

鉾廻す男のきほひ佳かりける

いうれいに訊ねてみたる落し物

幽霊も汗をかきをる夏芝居

らふそくの火が一つ百物語

胆試しすれちがひしは誰ならん

光年の星またたける端居かな

いちづに空青く背泳孤独なり

プール蒼く静かに世界記録生む

斑猫や京の終なるみささぎに

頭の中を真つ白にして蝉が鳴く

つれづれに聖書読むなど避暑ホテル

まつすぐな胡瓜つまらぬ世となりし

もう読まねど『されどわれらが日々』曝す

七月も後祭とぞなりにけり

骨相といふかほのある大暑かな

チャウシェスク倒しし弾痕灼けてゐし

避暑の宿『長野日報』など読んで

死ぬ蝉が蝉時雨より一つ落つ

上蔟や深空は星の数殖やす

白繭の静謐の世となりにけり

炎昼の暗きに光る溶接面

白日傘楼蘭城址に忘れあり

人妻と蛇のゆくへを見てゐたる

こいさんも初の浴衣の三姉妹

水バーに水を味はふ夜の秋

猿山にひと騒ぎあり旱空

和を以つて尊ぶ蟻の国ならん

かぶとむし雌は雄より長生きし

夜の秋の星空浴に君の星

ちちははの笑顔もセピア土用干

気がねなく余生をつかふ端居かな

風鈴や筆と硯と佳き墨と

刑務所の壁の片蔭に憩ふ

花火会の花火に倦みて闇を見る

昼寝覚ガリレオ温度計ふわり

片蔭や昭和のにほふ古本屋

父の世の少年倶楽部曝すかな

情死とふ古き死に方誘蛾灯

誘蛾灯ふるさとの灯の一つなり

打水や一見さまは御ことわり

真向ひに如意ヶ岳据ゑ夏座敷

高瀬川あくまで浅し灯涼し


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