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2016年7月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像7月

室町も二階囃子の夜風かな

また太き雨が降るなり鉾祭

鱧食はなけふに始まる鱧祭

緑蔭や二人ときどきものを言ふ

頓堀に男前なる夏の月

夏月やふわりと豆腐沈みたる

光年の星またたける端居かな

空蝉の触るれば雨水零しけり

藪蚊鳴く寂一文字の墓の裏

熱帯夜草木もねむる丑三か

母の眸に少しく痩せて帰省かな

夏痩せていよゝ火の酒旨かりし

自転車で行けるだけ行き蛇捨つる

けふの蝉かの日の蝉や忌を修す

生きて死ぬそれだけのこと蝉時雨

人妻と蛇のゆくへを見てゐたる

蛇這ひて毫も汚れぬ身をもてり

日盛りの御町内ちふしゞまかな

炎昼の未来が歪む道路鏡

座の釜に蓋なき劫暑かな

炎天へふらんすの水買ひにゆく

チャウシェスク倒しし弾痕灼けてゐし

たゞ灼けて芹沢鴨の小さき墓

無人島ひとをゆるして夏旺ん

眼下夏海あをあをと魔が誘ふ

避暑の宿ピンポンばかりしてゐたる

避暑の宿『長野日報』など読んで

こいさんも初の浴衣の三姉妹

法然院さまの下闇長ゐして

しまひまで線香花火よくよく見る

手花火の向う三軒ひとりつ子

遠花火あなたは別のことおもふ

蝉しぐれ京に七口ありにけり

でで虫のゆつくりいそぐ浄土かな

ハイヒールに足踏まれたる巴里祭

毘沙門の使ひの百足殺めける

猿山にひと騒ぎあり旱梅雨

夏痩て火の酒いよゝ美味かりし

地下出れば祇園囃子の最中なる

事もなく箱庭の日も暮れにけり

尺取の一枝加ふる青山河

死ぬ蝉が蝉時雨より一つ落つ

けふは未だ宵々山の嬉しさよ

宵山をぬければ洛中真くらがり

肩車され宵山の空をゆく

清正の鎧も屏風祭かな

鉾廻す男のきほひ佳かりける

頭の中の空白に鳴く蝉がゐる

熱帯夜スパークリングワインでも

骸骨に袋かぶせて夏休み

いうれいに訊ねてみたる落し物

らふそくの火が一つ百物語

胆試しすれちがひしは誰ならん

残念なき蝉の骸のかろきかな

いま打ちし水いま消ゆるこの世かな

骨相といふかほのある大暑かな

草涼しサラブレッドの母子ゐて

なかなかに戻らぬ恋のボートかな

亡き数のひとの空似も祇園会や

七月も後祭とぞなりにけり

地下街にまた地下のある熱帯夜

たましひのやをら戻りぬ昼寝覚

曝書して昭和時代を旅してをり

上蔟や深空は星の数殖やす

白繭の静謐の夜となりにけり

水バーに水を味はふ夜の秋

茂るまま茂りて過疎化高齢化

いちづに空青く背泳孤独なり

たゝなはる山たゝなはる蝉時雨

京のものなべてあえかや川床料理

京ことば舞妓は猛暑やりすごす

茹で過ぎて黒ずむ卵夏あらし

夏旺んなり蟻喰は蟻を喰ひ

風入や古き写真に泣けてきて

書き惑ふ鬱といふ字の茂りかな

青嶺より望む母郷の青嶺かな

釣堀の臭ひここらを場末と云ふ

無辜の民無辜のくちなは搏ちにけり

蛇に遭ひ遂に神とは邂はざりき

夜の秋の星空浴に君の星


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