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2016年4月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像4月

コンピュータ・ルームに癒えし花疲れ

カーテンの色変へてみる春愁ひ

草色のもの草に棲み春深し

吟行の一人はぐるゝ春深く

USBメモリにしまふ櫻かな

春陰や眼疾地蔵を拝むひと

都をどり丈高き妓もふえにけり

てふてふや北緯三十八度線

蝶一つたゞよふ千の無縁塚

蝶博士蝶を愛して娶らざる

春の夢なにかほとほと疲れたる

オムライス食べて治りぬ春愁ひ

いろいろな名で呼ばれをり捨仔猫

ハーモニカつたなく鳴りて春夕焼

花の種ミッキーマウスより貰ふ

一切を水の見てゐし落花かな

花散るや星の瞬きしきりなる

花の上にまた花の散る逢瀬かな

母が逝きすぐ父が逝く花筏

かの人のその後を知らず花筏

いとはんと呼ばれてをりぬ花衣

渾身の桜吹雪の中にかな

花散りて猫に猫撫で声もどる

奔流の果てをも知りて花筏

つばくろの百万石の城下かな

若すぎる死やつばくろの翻り

かぎりなき飛花実朝の海さして

久闊を叙する御室の櫻かな

根元より御室櫻の盛りかな

まむし注意と鞍馬山笑ひをり

頭より身体をつかへ山笑ふ

青踏むや寺山修司ポケットに

初つばめ智恵子の空のありにけり

きのふけふブッセの空へ鳥帰る

花屑や仁王の踏まふ天邪鬼

忌中より忌明淋しき残花かな

しやぼん玉飛べば蒼茫たる亜細亜

しやぼん玉午後のまろび寝つゞきをり

春宵やイノダコーヒに長居して

春の夜の止り木にゐるハムレット

父の忌の近づきをれば芽吹くなり

ひとづまと訪ぬる奈良の八重櫻

無農薬家庭菜園紋白蝶

ひとすぢの朧となりて高瀬川

鄙よりも都会は淋しリラの花

リラ冷やひとりの似合ふ夜の街

広辞苑六法全書春の塵

清滝の家並ゆかし鮎のぼる

審判のゐぬ草野球春の雲

青柳や舞妓に出逢ふ小橋の上

京おどり明日は都をどりかな

ユーラシアの風に吹かれて柳絮かな

散つてゆく花一片のものがたり

実朝の海へと迅し花筏

手のひらに大河を掬ふ日永かな

釣人の垂らす釣糸日永なる

行く春のひきしほの端踏みてをり

鳴き砂を鳴かせて春を惜しみけり

つゞき見て暗転したる春の夢

ふりむけばすべてまぼろし花の道

西方へ仔猫探しに行つたきり

鳴いてゐし仔猫のゆくへご存知か

かげろふの中へ消えゆく一人づつ

夕網のものばかりとぞ能登は春

青眼に構ふる剣士春の風

たそかれを舞妓のいそぐ柳かな

早や蝶の骸を見たる啄木忌

日曜の夜のさみしさや遠蛙

月曜といふもの憂さや昼蛙

髪断ちて君旅立てり弥生尽

五右衛門の山門に春惜しみけり

ゆく春の渚にのこす砂の城

レガッタの早やも日焼けし男たち

長閑さに波は力を抜きにけり

惜春の手をおばしまに嵐山

風青し杜の都のスタジアム

かにかくに白川が好き春の鴨

天摩するビルのかがやき夏隣

箸置は小舟のかたち夏近し

お通しの酢の物の香や夏近し

花屑や仁王の踏まふ天邪鬼

鳥の恋嘴(はし)と嘴より始まつて

ピッコロの音フルートの音風光る

てふてふや線路の脇の献花台

寄居虫の脚いそがしき九十九里

切株に知る木のよはひ昭和の日


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