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2015年6月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像6月

捕らへては放つ螢や思ひ川

猿山にひと騒ぎあり旱空

カサブランカをんなの香り消すために

六月の樟の香の雨降りにけり

キームンの香りの向う梅雨の街

蟇われ在るゆゑにわれ思ふ

百の豚百の鼻ある溽暑かな

ハツといふ心を食べて暑気払ふ

ほととぎす智恵子の空を鳴きわたる

網戸よりわたしの不在わが覗く

ヤマトンチュと呼ばれ泡盛ふるまはれ

泡盛にたくましきかな島野菜

浪速は夏やおつちやんのヘボ将棋

刑務所のほとりに佇てる白日傘

七曜の早くもめぐる四葩かな

容赦なく急ぎ去るもの蚊遣香

薄命の遊女に供ふ著莪の花

朝焼褪せ高層街衢起動する

たれかれに吠ゆる痩せ犬日蔭街

鑑真の聞きおはします梅雨の闇

学校に七不思議あり五月闇

淡墨に暮れてうつくし梅雨の京

美しき思案のさ中梅雨の蝶

白川やかくも静けく梅雨流れ

いくたびも寄る同じ窓同じ梅雨

梅雨晴のイノダコーヒのテラス席

現し世をいつしかはづれ螢舟

回送の涼の一塊よぎりけり

あの世とはきつと退屈走馬灯

空梅雨か首を反らせる陶の亀

横浜の夜景を游ぐ海月かな

新宿を海と思へばくらげかな

鉛筆に木のかをりしてついりかな

かのひとも窓辺に佇ちて梅雨の人

人間の脳重すぎる黴雨かな

年半ば梅雨最中なる不如意かな

夜の蟻をつまみて夜へ帰しけり

噴水の翼たゝみし星夜かな

五月闇標本室の蝶にほふ

一服の向精神薬梅雨の蝶

決めかぬる明日シャワーを全開す

出水して戻らざる亀太宰の忌

人類の滅びし星のゴキカブリ

舞妓けふ暇の絞り浴衣かな

川床涼み花かんざしの風に揺れ

まつすぐな胡瓜つまらぬ世となりし

この下闇を祇王寺と云ふべかり

法然院この下闇が好きで来る

葛切や祇園の燈しうつくしき

廻転扉シャネル五番の香もまはる

簡単服ひとは首筋より老けて

浴衣着てむかしは男前なりし

溽暑なる白熊さほど白からず

見てをればつゆたゝかはぬ闘魚かな

ハチ公はとはの忠犬梅雨滂沱

梅雨晴や錦に香る走りもの

梅雨晴や生八つ橋を焼く香り

驟雨過ぐ箸の先なる箸休め

エマヌエル夫人がひとり砂日傘

御来光待つ二杯目の濃き珈琲

これがまあ京の暑さや阿国像

業平の終の栖の苔の花

かのひとも窓辺に佇ちて梅雨の人

玉虫や形見も減りし桐箪笥

故郷の先づはおはぐろとんぼかな

身の内の鬼を宥むる冷し酒

ひとつづつともしび消えて月涼し

山積みのバナナの中の日本かな

父の日の機嫌の悪きゴリラかな

父の日の父さりげなく旅にあり

夕立を過ごす碧眼本能寺

夏の河ふぐり濡らして徒渡る

無人島ひとをゆるして夏旺ん

眼下夏海あをあをと魔が誘ふ

東山暮れても青き麦酒かな

小面のゑみ恐ろしき五月闇

面会謝絶五月闇五月闇

華燭とふ一つの別れ花氷

明易のまなこのテストパタンかな

千人の千のまなざし花氷

明易きグラスの底の琥珀色

短夜の逢瀬のための時刻表

短夜や忘れてゆきし耳飾り

法然院さまの下闇長ゐして

よべのこと蚊遣の灰の渦に似て

雲の峰をんなが四股を踏んでをり

傍にゐて水着の娘はるかなり

サントロペ水着濡らさぬ夫人ゐて

懈怠なく生くる蟻も蟻地獄も

百足死し遅れて百の足が死す

山椒魚人間嫌ひに徹しけり

雨降れば雨を愉しむ籠枕

空梅雨のはたして騒ぐ群鴉

けさの卵に黄身二つ沖縄忌

うつぶせに臥てゐる女明易し

街娼の眼のあをあをと白夜かな


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