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2015年2月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像2月

切結ぶ竹の音聴く風二月

北野より平野へまゐる厄落し

しら梅のあすにほころぶ気色かな

流氷の天も動いてをりにけり

撫で牛は石のつめたさ梅白し

豆打や闇がたぢろぐ闇の中

やらはれし鬼見失ふ人の渦

春雪霏々と鬼はまだそこにをる

立春のなかなか立たぬ卵かな

鞍馬路はけふも雪積む木の芽和

受験子の眼中になくすれちがふ

島原の大門くゞる捨仔猫

眼が合ひて忽ち有縁捨仔猫

仏飯を喰ふ捨仔猫喰へばよし

恋猫の鈴の高鳴る真くらがり

春はあけぼの珈琲はアメリカン

ひそかなる逢瀬の後の春の風邪

いくさ経し不死身の人の春の風邪

風光るまだ傷だらけなる山河

がうがうと篁鳴らし春立ちぬ

春浅き雨のひそひそ降りにけり

固まつて其処が都や蝌蚪の国

蝌蚪に手が出てもう魚にはなれぬ

あをあをと冴返る空ありにけり

淡雪やはんなりといふ京言葉

鴨川の白波見ゆる春炬燵

佐保姫の覚めて奏づる深山川

屋根づたひ何処へも行けて恋の猫

サイパンに戦死と墓銘忘れ霜

七曜のめぐる早さの物芽かな

滔々と河の流るゝ朝寝かな

雨だれの音楽となる朝寝かな

亡き数のひとを娶りし春の夢

初午やすゞめ焼く香の裏参道

日本はご飯の國や花菜漬

柩窓開いておきぬ百千鳥

白杖は道たがへざり百千鳥

抱擁のあなたに海市崩れ初む

かざぐるま恋とは風のやうなもの

風船が逃げるシンデレラ城の上

いつしかに切れにし縁紙風船

しやぼん玉飛べば蒼茫たる亜細亜

春眠の空を游いでゐたりけり

龍馬遭難之地とのみ春疾風

順々に死ぬと限らず春疾風

空港に汝と別るゝ花粉症

鳥雲に河は苦しく蛇行せり

鳥雲に時差の向うの子をおもふ

何者の手に蛇行せる春大河

春泥の径の果てなる縁切寺

春燈やをどる姿の京人形

をりからに三味の音漏るゝ春燈

春燈のともりて昏らき先斗町

繰り言が母の遺言しゞみ汁

水筒に小さな磁石鳥雲に

春の艸紙ヒコーキの不時着す

京女かはゆくいけず斑雪

春装のひと鏡より出でゆきし

寝ねがてに須磨之巻など夜半の春

春の夜を更かす源氏のものがたり

湯上りのかほを向けたる春満月

春月を眺めてをれば二胡噎ぶ

春の夜のすぐに泣くひと泣かしけり

東風さむき白梅町といふところ

東風吹かば出船ま近き遣唐使

白梅に醒め紅梅に惚けたる

春の日を阿修羅にまみえ面映し

天平の色となりゆく春野かな

東京に春の雪積む秘史ありき

残る鴨勇の詠みし水にかな

料峭の候とひとひら喪の葉書

料峭に架かりて長き渡月橋

三十六峰みな名をもちて霞みけり

紙袋うごいてをれば仔猫かな

リモコンがいくつもあつて春の風邪

いかなごの釘煮といふも無慚なり

引鶴や別るゝために邂ひしとも

少年の日のローマ字日記鳥雲に

朧夜の京に図子とふ小道かな

朧夜の抜け路地いくつ先斗町

占ひにひらくてのひら星朧

朧夜のそろそろ眠き十指かな

天井に龍の眼のあるおぼろかな

龍馬の目切れ長にして沖霞む

万年を生きねばならず亀鳴けり

青空の青をふやして揚雲雀

豚落ちて黄河の春を泳ぎけり

春を寝て未生以前を旅してをり

逃水や引返すには来過ぎたる

ひとひらの波ひとひらの桜貝

ハーモニカ拙きが良し春夕焼

光年といふ巻尺や星朧

朧夜の身に九穴のありにけり

春雷や地下街にまた地下がある

お持たせの春の三時の五色豆

春燈や明朝体のうつくしく

風車不意にシャネルの香り来て

春光のさゝ波なせる千枚田


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