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2014年4月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像4月

幕の内弁当に春闌けにけり

醍醐水醸して咲けるさくらかな

あをあをと花冷の空ありにけり

蝶に逢ひまた別の蝶に逢ふ日和

うららかやチキンライスに三色旗

吟行の一人はぐるゝ春深く

草色のもの草に棲み春深し

渡月橋半ばにやみぬ花しぐれ

眼薬の頬に溢れし花の冷え

石仏の頬の深手や桜冷

花咲いて京に五つの花街かな

一力に停まるハイヤー花の雨

周恩来詩碑もしとゞに花の雨

咲き満ちて嘘一つなきさくらかな

山寺の手水にうつる花月夜

ひとつぶの雫の中の花月夜

ほつこりとして鍵善に花の昼

長堤の果は天なるさくらかな

蝶一つたゞよふ千の無縁塚

あを空に風のせせらぎ上り鮎

フラミンゴシンメトリーに水温む

たましひの遠出したがる花の雲

コンピュータ・ルームに癒えし花疲れ

竹秋の門よりまゐる天龍寺

のゝ宮に恋の絵馬ふゆ竹の秋

京おどり明日は都をどりかな

ぬばたまの闇もひしめく櫻かな

散つてゆく花一片のものがたり

一切を水の見てゐし落花かな

来てみれば果して散れる山桜

母が逝きすぐ父が逝き花筏

花散るや星の瞬きしきりなる

若すぎる死やつばくろの翻り

滾ちつつ一期の鮎を上らしむ

念々に我あたらしき櫻かな

USBメモリにしまふ櫻かな

大濁りして春告げぬ最上川

花散りて猫に猫撫で声もどる

やまざくら山の奥とは天の奥

生臭きものなまぐさく春めけり

真水浴びをんなに戻る陸の海女

ひとづまと訪ぬる奈良の八重櫻

夕網のものばかりとぞ能登は春

春陰や眼疾地蔵を拝むひと

油掛地蔵照りゐし春暑かな

大阪の水の匂へる春暑かな

校庭に花理科室にスケルトン

根元より御室櫻の盛りかな

久闊を叙する御室の櫻かな

くちびるの一触即発夜の櫻

かたはらに死亡広告花だより

まむし注意と鞍馬山笑ひをり

頭より身体をつかへ山笑ふ

接木して人生のどの辺りなる

花の寺柩が一つ出でゆきぬ

鯛の腹きれいに裂かれ花の昼

板前はむかし美男子花の宿

渾身の桜吹雪の中にかな

桜鯛紀淡海峡晴れ極む

青眼に構ふる剣士春の風

鳥の恋嘴(はし)と嘴より始まつて

花の種ミッキーマウスより貰ふ

つゞき見て暗転したり春の夢

いとはんと呼ばれてをりぬ花衣

カーテンの色変へてみる春愁ひ

青踏むや寺山修司ポケットに

清滝の家並ゆかし鮎のぼる

審判のゐぬ草野球春の雲

なほ動く明治の時計花は葉に

たそかれを舞妓のいそぐ柳かな

青柳や舞妓に出逢ふ小橋の上

春愁の頬杖ビルにビル映る

鄙よりも都会は淋しリラの花

リラ冷やひとりの似合ふ夜の街

花屑や仁王の踏まふ天邪鬼

忌中より忌明淋しき残花かな

都をどり丈高き妓もふえにけり

早や蝶の骸を見たる啄木忌

奔流の果て知るごとく花筏

葉桜やサンドウィッチですます昼

イタリアの国旗お洒落や花は葉に

かげろふの中へ入りゆく一人づつ

かげろふの道は昭和に繋がれる

酒見世の意外の混みや菜種梅雨

ひとときの名残の雪や奥千本

花の上にまた花散れる逢瀬かな

柳絮とぶ民の広場に民あふれ

ユーラシアの風に吹かれて柳絮かな

春宵やイノダコーヒに長居して

日曜の夜のさみしさや遠蛙

月曜といふもの憂さや昼蛙

寄居虫の脚いそがしき九十九里

初つばめ智恵子の空のありにけり

口開けて口の数だけ燕の子

しやぼん玉午後のまろび寝つゞきをり

カサブランカ挿して女の匂ひ消し

産土神(うぶすな)の水を守りて源五郎

惜春の手をおばしまに嵐山

行く春のひきしほの端踏みてをり

風青し杜の都のスタジアム

図書館の静かに混みて春霖雨

きのふけふブッセの空へ鳥帰る

髪断ちて君旅立てり弥生尽

鳴き砂を鳴かせて春を惜しみけり

ゆく春の渚にのこす砂の城

折鶴に息吹き入れて春にする

春愁の三面の貌たゝみたる

大寺の屋根まで飛べて雀の子

手のひらに大河を掬ふ日永かな

バス停のダイヤ憶えて長閑なる

てふてふや北緯三十八度線

しやぼん玉消ゆる彼方に飢餓の国

花筏たれもがいづれ行くところ

好晴や錦市場に木の芽の香

ひとところ猫の執する春の土

岬にも四五戸住みなす初つばめ

喪の花と知る筈もなき胡蝶かな

父の忌の近づきをれば芽吹くなり

かぎりなき飛花実朝の海さして

つばくろの百万石の城下かな

釣人の垂らす釣糸日永なる

大股に歩くをとめご夏近し

箸置は小舟のかたち夏近し

切株に知る木のよはひ昭和の日


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