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2014年2月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像2月

切結ぶ竹の音聴く風二月

北野より平野へまゐる厄落し

豆打や闇がたぢろぐ闇の中

やらはれし鬼見失ふ人の渦

風光るまだ傷だらけなる山河

がうがうと篁鳴らし春立ちぬ

立春のなかなか立たぬ卵かな

春雪霏々と鬼はまだそこにをる

しら梅のあすにほころぶ気色かな

春浅き雨のひそひそ降りにけり

七曜のめぐる早さの物芽かな

春はあけぼの珈琲はアメリカン

流氷の天も動いてをりにけり

撫で牛は石のつめたさ梅白し

ひそかなる逢瀬の後の春の風邪

いくさ経し不死身の人の春の風邪

初午やすゞめ焼く香の裏参道

受験子の眼中になくすれちがふ

島原の大門くゞる捨仔猫

眼が合ひて忽ち有縁捨仔猫

鞍馬路はけふも雪積む木の芽和

日本はご飯の國や花菜漬

固まつて其処が都や蝌蚪の国

柩窓開いておきぬ百千鳥

白杖は道たがへざり百千鳥

長湯してふやけしおゆび牡丹雪

淡雪や更けてはなやぐ祇園町

東京に春の雪積む秘史ありき

あをあをと冴返る空ありにけり

仏飯を喰ふ捨仔猫喰へばよし

叱られしこと早や忘れ仔猫かな

雨だれが音楽となる朝寝かな

淡雪やはんなりといふ京言葉

残る鴨勇の詠みし水にかな

蝌蚪に手が出てもう魚にはなれぬ

春燈やをどる姿の京人形

春燈のともりて昏らき先斗町

をりからに三味の音漏るゝ春燈

サイパンに戦死と墓銘忘れ霜

恋猫の鈴の高鳴る真くらがり

亡き数のひとを娶りし春の夢

カナリアは歌を忘れず木の芽風

かざぐるま恋とは風のやうなもの

空港に汝と別るゝ花粉症

鳥雲に時差の向うの子をおもふ

鳥雲に河は苦しく蛇行せり

何者の手に蛇行せる春大河

みちのくに嗚呼いくたびの忘れ雪

落ちてゆく真白き羽毛春眠し

アザラシを見て春風邪を引いてくる

春泥の径の果てなる縁切寺

料峭の候とひとひら喪の葉書

料峭や紙の葬花の紙の音

料峭に架かりて長き渡月橋

あばら家へぶらりと寒の戻り来る

三十六峰みな名をもちて霞みけり

龍馬遭難之地とのみ春疾風

順々に死ぬと限らず春疾風

繰り言が母の遺言しゞみ汁

京女かはゆくいけず斑雪

高瀬川あくまで浅し春しぐれ

春の夢なかなか出口見あたらぬ

春寒の舌下にニトログリセリン

湯波半の湯気かぐはしく春立ちぬ

鴨川の白波見ゆる春炬燵

佐保姫の覚めて奏づる深山川

もう誰も踏まざる踏絵玻璃囲ひ

抱擁のあなたに海市崩れ初む

屋根づたひ何処へも行けて恋の猫

水筒に小さな磁石鳥雲に

春の艸紙ヒコーキの不時着す

春眠の空を游いでゐたりけり

風船が逃げるシンデレラ城の上

縁とは絆とは鳥雲に入る

春の日を阿修羅にまみえ面映し

春月を眺めてをれば二胡噎ぶ

寝ねがてに須磨之巻など夜半の春

春装のひと鏡より出でゆきし

淡雪や一力茶屋のくろき塀

春寒やつまづきて知る己が齢

奥嵯峨の竹さはがしき余寒かな

お持たせの春の三時の五色豆

湯上りのかほを向けたる春満月

春の夜のすぐに泣くひと泣かしけり

いつしかに切れにし縁紙風船

美しく飢ゑてをりけり磯巾着

恋の傷舐めてなほしぬ恋の猫

しやぼん玉飛べば蒼茫たる亜細亜

東風さむき白梅町といふところ

白梅に醒め紅梅に惚けたる

春の午後京のお菓子の美しく

春宵やだらりの帯とすれちがふ

春の夜を更かす源氏のものがたり

東風吹かば出船ま近き遣唐使

天平の色となりゆく春野かな


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